『 仕事づくりの法則 』
「もっと自分に合う仕事が他にあるのではないか?」私も仕事に行き詰まった時、ふとそんな思いが頭をよぎることがある。転職して、さらに自分に合った仕事を手に入れればいいのだろうか。それも一つの方法だろう。また、こんな考え方もある。自分に合った仕事を自分で創ればよいのではないかと。
仕事を創るとは、どういうことなのか。良い例があるのでご紹介してみよう。用具メーカーA社の営業職だったSさんである。A社の取引先は企業や官公庁が中心であったが、そのプロ仕様の商品は一部の一般消費者にも人気があった。Sさんは常々、一般消費者の意見を商品や販売に採り入れるべきと考えていた。
だが自社製品を基本的にプロユースと考えていた会社側は、Sさんの提案になかなか興味を示すことはなかった。そこでSさんはまず既存の自社サイトにコミュニティーを作ることから提案。ネット歴の長い自分がその対応を買って出る、また営業業務を圧迫すれば即刻中止との約束で、了承をとりつけた。
コミュニティー運営には困難もあった。業績を維持しつつの対応はかなりの時間管理を要し、マニア的な質問への回答に追われることもあった。しかし丁寧なSさんの対応は評判を呼び、コミュニティーには多くの一般消費者が集まった。開拓の余地がある市場だと、Sさんは会社側に認識させた。
そして遂には、メーカー直売ネットショップの立ち上げ。Sさんはその運営責任者となった。当初は企業営業から離れたSさんの業績を危ぶむ声もあったが、彼は各部門や業者と調整しながらネット直売体制を整備し、ショップの対応力と販売規模を広げていった。営業時代にも迫る勢いで売上を伸ばしている。
「やりたいと考えたことを、実際にやろうとしてきただけです」とSさんは言う。私は、エージェントの仕事に就くずっと以前に上司に言われた言葉を思い出す。「その仕事をしたいなら真似事でも今すぐやって見せればいいじゃないか」と。どんな環境にあっても仕事の出発点を自分で創ることはできる。
実は、転職の法則は、私の仕事の都合でしばらくお休みをいただくことになった。「やりたい仕事は、今日から始まっている」その一言を、私を含めた全ての職業人に掲げて締めくくりたいと思う。何かを始めた結果が新しい仕事を生むこともあれば、転職などの転機に繋がることにもなると私は思っている。
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