『 良い待遇の法則 』
我々サラリーマンの懐が急速に寒くなっている。私も仕事柄様々な業種・年代の人々の年収を知るのだが、平均して下がってきていることをやはり実感する。そしてこれも最近感じることなのだが、転職に際し特に収入面にこだわる人が、以前にもまして目立ってきたように思う。私とて家族を養う身である。まず収入が気になる気持ちはわかるし、少しでも良い暮らしがしたい。
数千円でも良い待遇で転職するにはどうすればいいのだろうか。私がよく目にする失敗は“まず理想の収入ありき”で会社探しをしてしまうケースである。極端な人は、求人情報を見る時も給与欄を片っ端から追ってしまう。また待遇交渉の際これと決めた理想額を強弁に主張してしまい、内定を逃がす。
“収入”が頭を占めるばかりに、皮肉にもそれに振り回されてしまうのだ。
そんな人に面談で出会った時、私は“視点を変えてみる”ことを勧めている。非常に参考になるWさんという方の事例があるので、ご紹介しながら説明してみよう。Wさんの前職は、外資系機械メーカーのセールスエンジニアである。その企業で扱っていた製品が、先行きどうも市場で生き残っていけるとは思えない。Wさんはそう考えて、他業種への転職を希望していた。
幸い前職で相当の業績を上げていたこともあり、Wさんの内定は順調に決まっていった。ただ、やはり他業種への転職ということがネックになり、内定は得るもののしっくりこないのだ。内定企業の中には社員数何千、何万人の巨大企業もあった。だが配属先がWさんの技術知識を活かせない営業部門だったり、逆に営業手腕を発揮できないソフト開発部だったりするのだ。
そんな時、あるベンチャー企業P社から声がかかった。P社はIT系のパッケージ化されたシステムを開発販売しており、Wさんの経験業務が探していた人材にジャストだと言うのだ。Wさんは前職で機械に組み込まれていたソフトの企業向けカスタマイズも視野に入れた営業を行なっており、そんな経験を持つ営業がどうしても欲しかったのだ、とP社は言うのだった。
WさんはP社への入社を決めた。P社は社員10名の新興企業で、他の内定先に比べれば未知数の部分はある。Wさんは決定理由を私にこう話してくれた。「私を一番必要としてくれる企業だと感じた」と。私は彼の言葉にこそ今回のヒントがあると思う。なぜならWさんに一番高い年収額を提示したのは、他のどこでもないP社だったのだ。厚待遇は、自分が真に必要とされる場所にある。心から求めてくれる企業を探せば、待遇もおのずとついてくるのだ。
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