『 自信の法則 』

失業率の上昇に伴って、求職者が職場探しに費やす期間も長期化している。人材紹介オフィスで私が日々接する転職者の皆さんも、はっきり二極分化が進んでいるように感じる。短期間で幾つもの内定を得る人と、数カ月や半年の長期戦を余儀なくされる人だ。前者は、市場ニーズのタイミングにもよるが、経歴もスキルも飛び抜けたいわゆる“ビジネスエリート”が中心となる。

しかし“ビジネスエリート”と呼ばれる人はほんの一握りの人種だ。我々の多くは、その日その日の仕事をこつこつと積み上げてきた、ごく普通のビジネスマンである。自分なりに頑張ってきたのに、1カ月探しても2カ月探しても、経験を活かせる仕事に出会えない。自分は無能な人間なのだろうか。そんな重い胸のうちを、私も時々、苦戦する転職者から打ち明けられる。

そこで今回は、“普通のビジネスマン”へのエールを込めて、Rさんの話をしてみたい。Rさんは、転職先が見つかるまで3カ月もの期間を要した。彼の前職は、中堅マーケティング会社でのデータ管理。マーケティングを理解しているが本職のマーケッターには及ばず、データ処理に精通してはいるが巷のプログラマーやSEには及ばず、悪く言えば宙ぶらりんな経歴だった。

転職活動中、Rさんの心情も他の転職者と同じく揺れていた。「1社の面接さえ受けられない。この先どうなるんでしょう」。だがRさんが少し違ったのは、書類選考で落とされ続けても“経験を活かせる仕事”にこだわり続けたことである。たとえ図抜けた経験でなくとも、自分のしてきた仕事はマーケティング分野のデータ処理だ。だからそのままアピールするのみだ、と。

オファーは突然来た。Rさんの経歴に目を留めたのは、世界有数のネットビジネス企業だった。まだ市場調査部門が手薄なその企業は、膨大なマーケットデータを解析する技術者を求めていたのだ。企業側もRさんも、お互いのマッチングぶりにただただ驚いた。内定まで1週間とかからなかった。辛い長期戦は、Rさんも予期せぬ年収大幅UPという形で幕を閉じたのだった。

確かにRさんは幸運だったのかもしれない。しかし、運を逃さなかった彼の

特徴に注目してほしいのである。自分の経験を卑下するでも誇張するでもなく、率直に提示し続けた。上手く物事が運ばない時、私たちは自分自身までも疑ってしまいがちだ。得てきたものが凡庸か希少かは結局のところ関係ない。流されず、等身大の自分を見ることなのだ。冷静に、自信を持って。