『 キャリアプランと資格の法則 』
今までたびたび資格とキャリアプランの関係について、ここでお話ししてきた。資格とは、ビジネスマンがそれぞれの分野で培う実務スキルと融合して初めて、その効力を発揮するものなのだと。最近、そのことを改めて思い起こさせる出来事に出会ったので、紹介してみたい。28歳のKさんの話である。彼が取ったのは国家資格ではなく、学歴の範疇に属するMBAだ。しかし取得までに至る過程と、その活かし方はきっと皆さんの参考になるはずだ。
Kさんは高校卒業後、大学には進学せずすぐに働き始めた。幾つかの仕事を経験したのだが、22歳の時、知人の紹介で中堅チェーンストアに入社。本部の経営に参画するポジションまで昇格していった。若くして経営幹部という地位を確保したKさんだが、しかし彼はそこで初めて壁にぶつかった。会計や経営の仕組みが深く理解できない。何事も実践と考え働いてきたが、皮肉にも実践の成果が実を結びはじめた所で、学問の必要性を痛感したのだ。
もう一度勉強し直したい。悩んだ末にKさんは某国立大学の2部に入学し、経営学を専攻した。責任ある職務に就きながらの2年間は、周囲が思うより遥かに大変だったに違いない。だがKさんはそんな日々を過ごすうち、もっと経営について学び、一生の仕事にしたいという思いを強めていった。卒業後Kさんは思いきって会社を退職。MBA留学のために渡米したのだった。
私がKさんと会ったのは彼の帰国直後のことだったのだが、まず、その職務経歴書に驚かされた。彼は全く未経験の業界を志望していた。だが、そこで役立つ自分の経験は何か、MBA取得の過程で学んだことの何が活かせるのかを、明確に自己分析していたのだ。彼が私に語ってくれたキャリアは、実際の仕事と学問の中で自分は何を学び、またそれをどのように仕事に役立ててきたのかという非常に迫力のあるものだった。人材紹介会社に登録する転職者の中で、MBA取得者は決して珍しい存在ではない。しかしKさんの人材としての魅力は群を抜いていた。彼の元には、言うまでもなく何社もの内定が集まったのだった。
切り札的な資格を取るということは、要はこういうことなのだ。目指す目標は何か。そのために自分は何をすべきか。自己分析しキャリアプランを立てた先に見えてくるものが、資格取得というワンステップである。資格が人を活かすのではない。取った人がそれを活かしてこそ、資格は意味を持つのだ。
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