『 不利な転職の法則 』
そもそも転職とは、数をやればやるほど不利になっていくものだ。1回ならまだ安全圏内。それなりの説明さえつけば、2回でもぎりぎり何とかなる。しかし3回、4回となると…。次を探すのは、至難のワザになってくる。人間関係を上手く結べないのでは?責任感が薄いのでは?。転職回数の多い人々は、企業側からの信用度が著しく低いのだ。書類選考にしても面接にしても人間対人間のことなので、信用度が低いというのは致命的なことである。
しかしそうは言っても、やってしまったことは仕方がない。仕事がなければ食っていけない。なんとか活路を見いだしていくしかないのだが…。そこで、Jさんという転職者の話をご紹介したいと思う。Jさんは29歳のSE。彼は大学卒業後からの7年で、3回も転職していた。もうさすがに落ち着かないと…。そう考えていた矢先に、3度目の転職先が倒産したのだ。Jさんのあまりの転職頻度に、最初私は、正直“ダメだろうな”と踏んでいた。彼自身も、望みが薄いということは重々承知しているようだった。アタック先の企業を選ぶ打ち合わせも、なんとなく盛り上がらない。じゃあ、日を改めて…という雰囲気になった矢先、Jさんは突然、私に宣言した。
「もう、ぜいたくは言わないです。私が行けそうな所ぜんぶ、面接を受けてみます」。そしてきっぱりとした口調で、こう続けた。「今度の転職で4回目なんて、私が選考側でもやっぱり採りたくないです。だからもし採用してくれるという会社があるのなら、そこが私にとっていい会社だと思うんです」。Jさんの望みどおり、私は“Jさんの経歴に少しでも興味を示しそうな会社”すべてにJさんの情報を流した。すると、人間とは不思議なもので、謙虚になった瞬間に運が向いてくるのだ。Jさんをぜひ、という会社が現れた。
「ウチは医療関係のシステムを作ってるんですが、最近はネットワーク系にも力を入れています。Jさんは転職先の2カ所で、その両方をご経験なさっている。よくぞこんなキャリアを積まれてきましたね。稀な人材ですよ」。私もJさんも驚いたが、とにかく先方企業はJさんをベタボメなのである。もちろん私たちに文句のあるはずがない。Jさんはさっそく転職していった。つい先日まで路頭に迷う心配をしていたのに、なかなか悪くない待遇で…。
転職先を“選ぶな”とは、私は言わない。むしろそれなりに選ぶほうが、このご時世では何かと安心である。しかし、もし自分に不利な条件が重なっていると感じたなら…。Jさんのように、いったん心を白紙に戻してみる。自分の間口を広げ、できる限り数多くの会社と接触してみることだ。その中に、あなたとの運命の出会いを待っている会社が、あるかもしれないのだ。
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