『 面接と会話の法則 』
SEのGさんが、採用面接を終えた足で、私の所へ泣きついてきた。どうも感触が良くなかったらしい。いったい面接で、どんなやりとりがあったのか…。詳しく聞くうちに、私も「そりゃ、しゃーないわ」という気持ちになった。もともとクチベタなGさん。書店に並ぶ面接マニュアル本をあれほど読むなと言っておいたのに、不安にかられてやっぱり読んでしまっていたのだ。
問題のやりとりはこうだ。先方企業の面接官が、話の途中でいきなり「C言語はできますか」と聞いてきたらしい。そこでGさんは激しく混乱した。経歴書を見れば、できないことは分かるはず。業務上も支障はないはずだ。なのに、なぜそんなことを聞くのだろう。でも、とにかく答えなければ…。
そこで思いだしたのが、面接マニュアル本にあった一言。“できないことをできると安易に安請け合いするな”である。Gさんは戸惑いながらも、面接官に向かって「できません」と断言した。しかし、その後が続かなかった。
“できません”の後に何か続ける必要があることは、Gさんにも雰囲気で察せられた。だが、本の内容をいくら思い出しても“できません”の後にどう続けるのが理想的か、書かれてはいなかったのだ。仕方がないので「申し訳ありません…」と弱々しく付け加えると、面接官に冷笑されたという。
Gさんのケースに限ったことではない。“いかにもマニュアル本どおり”な面接者をわざと揺さぶる手法は、多くの人事が使っている。なぜなら彼らは、一見お行儀の良い面接者の、本性を知りたいと考えているからだ。
面接者の職務上の能力が合格ラインに達しているか否かは、経歴書の段階で大体判断がついている。人事が面接の場で主に見るのは“ウチの社風に合う人間か”。その点を履き違えると、しなくてもいい損をすることになる。
面接というと、多くの人は“出された質問に完璧に答えなければ”と構えがちだ。だが“質問に答える”だけでは、自分がどんな人間か相手に伝えられない。“会話を通じてコミュニケーションする”ことが必要なのだ。
相手が人柄を審査するなら、自分も社風を審査する。それぐらいの姿勢で会話すればいいのにと思う。その上で不合格なら、本当に“合わなかった”ということなのだ。Gさんも本の内容に固められた頭でなければ、「C言語はできませんが、○○でカバーしますよ」とぐらい切り返せたかもしれない。
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