『 企業文化の法則 』
この仕事も長くやっていると、転職者と向かい合った瞬間に「あの会社と合いそうだな」という直感が働くようになってくる。あくまで直感だからこれといった根拠はないのだが、けっこう当たったりもするので面白い。実際に両者を引きあわせてみると、仲介の私などおいてけぼりで盛り上がったり。
顔は好みでないのに、妙に気が合ってしまった。…結婚の王道(?)として語られるパターンだが実は転職市場の中でも、これと同じような現象が時々起きる。ひとたび意気投合すれば、多少の欠点もなんのその。企業と転職者が、ゴールインへと一直線に突き進んでいく。最近で言うと、外資系の大手コンピュータメーカーに転職したEさんのプロセスがその好例と言えよう。
初めて外資系T社の面接を受けたとき、Eさんのスキルは、T社の求めるスペックを満たしているとは言えない状況だった。技術レベルでは合格点だったのだが、語学が弱かったのである。「もし落ちてもがっかりしないでください」。私もそんなことをEさんに言いつつ面接をセッティングしたのだ。
結果はやはり不合格。しかし、これがただの不合格ではなかった。面接の席で、EさんはT社の採用担当者たちと「○月までに語学レベルを規定水準まで上げ、再び採用試験を受ける」という約束を交わしたのだ。後でT社の採用担当者の1人が、私に語ってくれた。「他にも優秀な採用候補はたくさんいましたが、この人とならいい仕事ができそうだと一番強く感じたのがEさんでした。とにかく私たちの企業風土に合う人だと感じたのです」。面接の後、急きょ語学留学に旅だったEさんは今年4月に無事帰国してきた。現在は、配属先のソフト開発部門にも、すっかり馴染まれている頃だろう。
「大手・外資系というと、どうも誤解されがちなのですが」。T社の採用担当者が、同時に興味深いことを語ってくれたので、ご紹介しておこう。「合否はスキルが全てという印象があるようですが決してそうではありません。私たちが見るのは、スキルが70%、人格が30%。着実に結果を出す能力は、もちろんですが、それと同時に自社の文化を理解して下さる方を求めているのです。経営理念や人材理念を規定する規模の会社ほど、その傾向が強いのでは」。
企業はそれぞれに1つの社会であるから、それぞれに独自の文化が存在する。いくらお互いの見た目が気に入っても性格が合わなければ、一つ屋根の下では暮らせない。企業が皆さんの人柄を見るように、皆さんも積極的に外へ出て、書類上のスペックだけではわからない企業の姿を見極めねばならないのだ。
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