『 キャリア形成の法則 』
大学新卒1、2年目の人の離職率が高まっている、という話を聞いたことがないだろうか。初めて就職した会社を短期間で辞める人が増えているのだ。この話に呆れる人はたくさんいても、感心する人はあまりいないと思う。私も基本的には、1年や2年で会社を辞めることに賛成しない。
“今年の新人”と呼ばれなくなったばかりの若者が我々のオフィスにもやって来るが、やはり転職はかなり難しいのだ。まず、なぜ自分が短期間で退職したのかを合理的に語れる人が少ない。そしてキャリアや実績が薄いという以前に、自分が1年間何をしてきたのか正確に把握できていないことが多い。
ただ私は、彼らと接していて、いつもハッとされられることがある。これら若年層の特徴は、そのまま私たち上の世代にも当てはまるのではないか?“なんとなく過ごしてきても時間と場数により身につくキャリア”によって、私たちは彼らより優位に立っている、単にそれだけのことではないか?彼らを“無自覚”と評する資格が、私たちには本当にあるのだろうか?
先日23歳のHさんと出会ったことで、私はその思いを一層強くしたのだった。Hさんは昨年美大を卒業したばかりの女性WEBデザイナーである。特に目立つような印象もない若手クリエイターだ。しかし、彼女は1年間の中で手掛けた仕事のひとつひとつについて、どんな技術を用い何を学んだか、どのような成果をあげたか、詳細に振り返った経歴書を携えてきたのだ。
さらに、Hさんはその経歴書を根拠に、なぜ転職したいのかを語ったのだった。見てのとおり一連の技術は学んだ。だが前の会社で任される仕事は事業内容の特性上ここまでが限界であり、次はもう一歩踏み込んだ技術を学べる環境に身を置きたいのだ、と。私も納得したが、もっと納得したのはHさんの志望先だった。Hさんは難関と言われる大手通販サイトへ転職していった。
キャリアとはなんだろう、と私は考える。ただ継続した結果がキャリアなのだろうか。“長いキャリア”を持ちながら転職に苦戦する人を、私は数多く見てきた。結局のところ、年数は関係ない。Hさんのように、自分が何のために何をしているのか常に意識し、次に何をすべきか模索する。本当の経験の積み重ねは、自分がその経験を理解して初めて、形作られるものなのだ。
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