『“転職の法則”の法則 』

[en] Career Newsが100号を迎えると共に、この「転職の法則」も100回目を迎えた。記念すべき号だけに、何か変わった趣向で書かねばとしばらく考えてみたのだが…。考えてみれば私は今まで、人のことをああだこうだと言うばかりで自分のことは棚に上げ通しだった。そこで今回は、転職の法則を書く私自身を、マナイタの上に乗せて話をしてみようと思う。

人材紹介会社のエージェントを続けてもうかなりになるが、最近、私を取り巻く仕事環境も随分様変わりしてきた。様々な転職手段がメディアに紹介され、人材紹介の利用者総数も増加した。そこで決定的に変化したのは、人材紹介を賢く利用する人々が増えたことである。数社の人材紹介会社を使い分ける。数ある転職リソースのひとつとして人材紹介会社を使う。転職者自身が意志を持って、個々のエージェントが持つ能力を引き出す時代が来たのだ。

私はほんの数年前の自分を思い出す。今でも充分私は偉そうだと思われているかも知れないが、数年前の私には、さらに強引というオマケがついていた。甘いと感じた考えは徹底的に正す。時には説教を垂れる。自分が良いと思う方向へ転職者を導かなければ気が済まなかった。しかし、普通の対人関係でもそうだが、自分の“良い”が常に他人の“良い”たりえるのだろうか。

転職は人と人の縁で成り立つものだ。多様な価値観と信念を持った人々が、数ある転職リソースのひとつとして私を選ぶのであれば、私はその選択を大切にしようと思い直したのだった。先々の目標に到達するためのキャリアプランや方策。スキルと経歴に添ったターゲット企業。転職者がそれらを選び取るための手助けは、縁あった以上骨身を惜しまずやる。だが、私自身が最後の意思決定を迫ってはならないのだ。決定権は皆さん自身の中にしかない。

エージェントは優秀な黒子であるべきだと思う。転職者が自分自身の意志を持って動くそばで、必要なものを的確に渡していく。物事を本当に考えるのは転職者だ。優秀なエージェントはそこをきっちりわきまえている。転職者が能動的に動き、選択していくための、他では替えの効かない強力なサポート役。それが、これからの人材エージェントの役目なのだと私は思う。

そしてこの「転職の法則」も、みなさんの意志や選択を黒子のようにサポートする存在でありたいと思う。何が自分にとって良いのか、正しいのか。選び取るのはみなさん自身だ。様々な転職者の話や、私が述べる意見を目にして、みなさん自身が何かを考える。そんな役目さえ果たせれば、私は本当に光栄である。今後とも、「転職の法則」をどうぞ宜しくお願いします。