『 辞め時の法則 』
登録者のDさんが先日、激しいクレームの電話を入れてきた。面接先の企業L社で、自分だけが差別的な扱いを受けたと言うのだ。出張の予定をキャンセルし、遠路はるばる電車を乗り継いで駆け付けたDさんに、L社は冷たかった。面接らしい質問や会話が全くなく、ものの数分で終了。しかも外はすごい雨。自分以外の面接者は皆、手配されたタクシーに乗り込んでいく。勧められもしなかったDさんは一人、駅まで歩いた…。
なるほど確かにひどい話である。ひどい話であるが、そこまでするからにはL社にも言い分があるのだろう。電話してみるとL社もやはり怒っていた。「忙しいから半年先まで入社できないって言うんです。非常識にも程がある」。
以前なら、半年ぐらい待ってくれる企業はいくらでもあった。今は違う。Dさんのような“入社時期の都合”は通用しなくなりつつある。在職中の会社をいつ辞められるのか。辞めるどのくらい前から転職活動を始めるべきか。その見極めを正確にしなければ、痛い目にあうのだ。
仕事のスパンや繁忙期を読み、時期を狙って転職活動する。それぐらいの工夫はほしい。どうしても時期が読みにくいなら、自分と似たポジションの人が過去に退職した例がないか調べてみることだ。彼らが退職意志を示した時期や、実際に退職するまでの期間がわかれば、かなりの参考になるだろう。
引き継ぎをスピーディに済ませる工夫も、普段からしておくことだ。自分の仕事を定期的に掘りおこし、書面にまとめておく。段取りを組み立てておく。同僚を育成しておく。その上で引き継ぎに要する期間を見積もればよい。
ただし注意が必要なのは、引き継ぎ期間を独自に規定している企業があることだ。ぜひ事前に就業規則を調べてみてほしい。先走って転職先を決めてしまい、規定を破ることになれば、退職金削減等々の制裁が待っている。
また、引き留めに応じて退職時期を延ばす人もいるが、これもできる限りしないほうがいい。しょせんは辞めると言った人間。やはりそれ相応の扱いを受けるものだ。後で仕返しをされない程度に断る方が賢明だろう。
確かに円満退職はしたい。在職中という安全圏内で転職先を決めたいのも当然だ。しかし求人企業の多くは、もはや私たちの都合に合わせてはくれない。転職を決意した以上、すみやかに行く先を決め、すみやかに去る。そんな覚悟が必要なのだ。いつ転職活動して、いつ辞めるのか。その計画が立たず、腹もくくれないのなら、退職願は懐にしまっておくべきである。
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