『 管理職の法則 』

管理職に求められる資質が大きく変わろうとしている。文字どおりの“管理”が中心ではなく、現場の目標に密着し、その都度判断を下しながらプロジェクトを推進していくプレイングマネージャー的なものへと。この変化は所属する企業規模の大小に関らず、多くの人が気付いていることだと思う。

今後は、まず自分がどんな業務を理想や目標にするかを決め、その中でプロジェクト推進力を蓄えなければ、管理職として認められにくい。自分はもうそろそろ役職を与えられてもいい人間だと不満を漏らしても、与えられて何を実現したいかさえもアピールできなくては、チャンスは巡ってこないのだ。

だが、その変化に気付かないばかりにチャンスを逃してしまう人もいる。財務のスペシャリストだった転職者、Lさんの話を例に挙げてみよう。Lさんは以前小規模な企業ながらも財務部長として経営に参加していた。留学経験もあり、スキル・キャリア共に申し分ない、非常に市場価値の高い人だった。

しかしネックはLさんの希望条件だった。“部長クラスとして迎えられること”がLさんの出した絶対条件だったのだ。以前の役職以下での転職は自分にとってキャリアダウンになる。Lさんにはそう考えているフシがあった。

視点を変えてみてくれないかと、私は説得した。“自分にはこんな職務が可能なので、それにふさわしい仕事を与えてほしい”にはならないかと。だが、Lさんはあくまで部長にこだわった。何を実現するために役職が必要なのか、そしてそのポジションが部長以上であるのはなぜかを語ることなく、ただ前もそうだったから自分にふさわしいという理由でこだわり続けたのである。

きっと“成したい仕事の視点”からオファーすれば、良い転職先が幾らでもあったろう。数カ月経った今でも、彼は一件の面接もできていない。どんな仕事を追求し、何を実現していくべきか考える。本来はその中に果たすべき役割や、真のキャリアプランが見えるのではないだろうか。管理職にふさわしいスキルを持っていたとしても、視点が外れていては活かせないのである。