『 助言の法則 』

最近、我々のオフィスを訪ねて来る若い転職者の方の中に、ある新たな傾向が見えてきた。「耳の痛い話でもいいので、率直にアドバイスして欲しい」と言う人が増えてきたのだ。こういう態度は「自己判断する指標を持たず、他人に強い口調で導かれたがっている」と言われてしまうこともある。

だが、私は“人の意見を聞きたがる人”が増えたことは、当たり前の傾向だと思うのだ。他人の意見に一切頼らず、ストイックなまでに自己判断で転職活動を進める人は確かにまだ多い。ただ近頃では、そうした人々が苦戦している姿を少なからず目にする。情報を整理しきれないからだ。

身の回りを見渡すと、転職や企業に関する情報が溢れ返っている。以前は知り得なかったことも、割合簡単にわかってしまうようになった。そんな中で、私たちは耳にタコができるほど「情報を自己責任で取捨選択せよ」と言われ続けている。だが全てを自分で背負うのは、どだい無理ではないだろうか。

例えば私が接する転職者の方々は、こんな質問もぶつけてくる。「2つの企業の内定を受けたが、率直にどちらが良いと思うか」「自分の業界ではどの会社の給与が高い低いと噂ばかり先行しているが、本当のところはどうなのか」私からどんな判断が引き出せるかを的確に見越しての賢い質問だと思う。

ただの“教えてもらいたがり”や“助言されたがり”とは何かが違うのだ。聞きたい分野や内容によって適任なアドバイザーを選定し、質問内容を明確にして意見を求める。そんな“賢い聞き手”が確実に増えているのである。これも、情報化社会ならではのビジネス人の進化なのだろうと感じる。

できる聞き手には、良いアドバイスが集まってくるものだ。みなさんの周りの“できる人”も、用途に応じて目的のアドバイスが引き出せる“参謀”を抱えてはいないだろうか。知り得る情報が増え、自己責任での取捨選択が大切になったらこそ、私たちは“聞く”という原点に戻らねばならないのだ。