『 キャリアアップの法則 』

私たち社会人は、その多くが「キャリアアップしたい」と常日頃から考えている。もうワンランク上の職務を与えられたい、転職するならもうワンランク上の仕事がしたいと。今回ご紹介するRさんも、キャリアアップを目指した一人である。Rさんは2年に及ぶ転職準備の中で大きく変わっていった。

2年前に会ったRさんは、中堅システム企業に勤める経験4年目のプログラマーだった。会社の業務範囲が狭く、なかなか満足できるような仕事に出会えない。大手独立系のシステム企業で幅広い経験を積みたい、と希望していたのだが…。結局、志望先からの内定は一社も出ずに終ってしまった。

Rさんの経験内容自体は悪くはなかった。しかし裏を返すと、とりたてて良くもなかった。つまり“そこそこ”のスキルだったのだ。勤務中の会社と同じような仕事を望めば、転職先はいくらでもあったろう。だが「仕事の幅を広げたい」という希望を通すには、いまひとつ押しが足らなかったのである。

この結果に、Rさんは少なからずショックを受けたようだ。近々の転職はひとまず諦めざるを得なかった。が、彼は勤務中の会社で再挑戦のための準備を始めたのだ。担当業務にプラスして、それまで業務内容になかったWEB系の開発プロジェクトを自らスタートさせた。また最新技術の研究会づくりを呼びかけ、集まったメンバーと一緒に新しいスキルを吸収していった。

そして2年がたち、Rさんは再び我々のオフィスへ来た、希望は前回と同様、大手独立系システム企業。何社かの志望先と面接が進んでいるが、企業側からの反応はまるで違う。Rさんの入社を真剣に検討しているようだ。感触の違いに驚いたRさんはこう言った。「経験って、長さでなく密度なんですね」

最近は転職を前提に就職する人も多いようだ。「○年後に転職する」「○年後にこんな仕事を始める」と区切りを考える人も少なくない。計画を立てること自体はいい。だが大切なのは転職やキャリアアップそれ自体ではなく、目的のためにどんな経験を積んできたか、ではないだろうか。目的にふさわしい自分を目指す。その過程こそが、本当にキャリアアップなのだと思う。