『 ハントされる人の法則 』

ひとくちに“ヘッドハント”と言えど、2種類に大別することができるのを皆さんはご存知だろうか。ひとつはA社のBさんを連れてきてくれと、企業が特定の個人を指名する“ヘッドハント”。もうひとつは企業が経験分野・スキルのみを指定し、人選はエージェントに任せる“スカウト”である。

ヘッドハントは主に、上層部のゼネラリストを採用する場合に多く使われる手段である。例えば、○○部門の部門長に適任の人材がいない→そこへ他社の類似部門に在籍するBさんの評判が聞こえてくる→Bさんを連れて来ようという結論になる。簡単に言えば、このようなことだ。企業側はエージェントへ接触を依頼する前に、ハント対象の業績・功績・スキル・人間性を総合的に評価し、すでに採用意志を固めている。つまり在籍中の会社の外でも仕事ぶりや人柄が噂される人物でないと、ヘッドハントの対象にはなり得ない。

スカウトはもう少しハードルが低い。専門分野に特化したスペシャリストを採用する場合によく使われる手段である。企業側は“○○の分野で経験5年以上を有し、○○ができる人”という具合に、特定の個人ではなくスペックを指定する。私たちエージェントがそのスペックに基づいて人選し、声をかけていく。そしてここからがヘッドハントとの最大の違いなのだが、企業も個人も見知らぬ同士が引きあわされるだけに、当然面接で“落とされる”ということがある。これはスカウトされる人間の責任ではなく、人選するエージェントの腕次第なのだが…。ともあれスカウトにしても、エージェントの耳にまで到達する評判がなければ、対象となるのは難しいだろう。

私は彼ら“ハント/スカウト対象”と接触しながらいつも感服するのだが、揃いも揃って、話していて気持ちがいいのだ。直接知らぬ他方からも乞われる人物だけあって、彼らは決して自分の周りだけを見て仕事はしていない。社内の同僚ではなく、業界内または同じ職種の人々を常に意識しているのである。その中で上位を目指してきたのだから、自分に自信を持てるのも当然のことだろう。身内の評価のみに甘んじず“外からも評価されるのか”と考えながらスキルを積んでいけば、見る人は見てくれているものなのだ。

ちなみに、彼らは私たちエージェントからの申し出にも、決して返答を迷うことがない。行くなら行く。行かないなら行かない。YesかNoで即答するのである。これも、自分の位置づけや進むべき方向を把握していなければ、できないことだろう。ぜひ、見習いたいものだと、私も思う。