『 教育研修の法則 』
私たち人材コンサルタントは、転職者の面接にもよく同行する。一緒に相手先の企業へ乗り込み、面接の席で援護射撃したり、間に入って折衝したり。言うなればお見合いの仲人役のようなものだ。その面接の席、特に質疑応答の場面で、たびたび疑問に思うことがある。なぜ転職者たちは揃いも揃って「御社にはどのような教育研修がありますか」と聞くのだろう?何人かの転職者にその理由を聞いてみると「あまり理由はないが無難な質問だと思って」とおっしゃる。そんなことだろうと思っていた。なぜなら教育・研修体制について質問しても、たいていのところ、何の意味もなさないからだ。
たいがいの企業には“当社独自の教育・研修体制”なるものが存在する。しかしマニュアルの徹底した一部サービス系企業を除き、実際フタを開けてみると“研修体制”というより“福利厚生イベント”に近い。入社後行なわれる新入社員研修、3年目の社員に対して行なわれるメンバー研修。役職に就く際行なわれる管理職者研修…。あなたの会社にも似たようなものがないだろうか。そして、受講してもあまり実にならなかった記憶がないだろうか。
これは、企業理念なり経営理念なりを“自分たちの会社にふさわしい人材像”に落し込めていない会社があまりにも多いためである。理念や戦略に添った人材像が描けていれば、教育・研修も当然、その人材像を目指すために独自性や具体性を持つはずなのだ。日本の企業では、この部分が抜け落ちている。
反対に、自社理念から確固とした人材像を導き、完全に独自の教育・研修を行なう企業も存在する。だがこれとて働く側にとっては一長一短だろう。会社が求める人材像に賛同する・しないに関わらず、働く以上はそれを目指さねばならないからだ。また、独自の緻密な研修のウラには“教育について来れない者を振るい落とす”という目的がある。サービス企業の細かな接客マニュアル等が、その良い例だろう。会社が求める水準に達しない人材は、存在を許されない。金をかけて教育するからには、それなりの目的があるのだ。
転職者のみなさんに言っておきたい。教育・研修について聞きたいのなら、育成しようとしてる人材像から質問すること。答えが自分の主義や好みに合わなければ、入社を思い止まることもできる。その方が質問的によほど意義がある。私個人としては「教育?そんなのないよ。自分で勉強して」と言う会社の方が、スッキリしてるし自由もありそうなので、好感が持てるのだが。
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