『 雑務の法則 』
最近頂いたご感想の中に、少々“?”と感じるものがあった。「これからはスペシャリストの時代なのですね。雑務に追われる毎日はやはり無駄だったのだと、改めて思いました。今後は○○の技術だけを追求していきます」。ちょっと待ってほしい。私の伝え方がまずかったのだろうか?。確かにスペシャリスト性が今後重要であることは、さんざん繰り返し述べてきた。そういう意味では“スペシャリストばかり強調”し過ぎてしまっていたのかも知れない。そこで今回は反省の意味も込めて、ある事例をまずご紹介したい。
事例の主は、秘書のJさんである。外資系K社の外国人ボスに付き、キャリアを積んできた彼女は、超一級の秘書スペシャリストだったのだが…。K社の日本拠点は、ある日突然撤退。Jさんをはじめ現地社員全員が解雇された。
Jさんは最初、あせってはいなかった。自分には高い専門性がある。だからどこででも雇ってくれるに違いないと。しかし私たちの人材紹介オフィスでJさんは“秘書の求人案件がほとんどない”ことを知る。総務事務や営業事務も同時にこなす秘書“的”な仕事ならあると言うコンサルタントの私に、Jさんはボーゼンとしながらこう答えたのだった。「営業マンの事務アシスタントなんて、どうこなせばいいかわかりません…。私には外国人ボスの世話しかできません…」。「そんなことないでしょう」と、コンサルタントの私。「あなたはK社で、入社後いきなりボスに付いたんですか?」。Jさんはハッとしたようだった。そう言われれば、K社に入社後の3年間は、営業セクションの部門長の下で雑多な仕事をいろいろやらされたと。あのころはそれが嫌で嫌で、1日も早く“秘書”に昇格したい一心で頑張ったと。「そのころの経験も、あなたの現在のスキルを構成する一部分だとは思いませんか?」と聞く私に、Jさんは確かにそう思うと深く頷いたのだった。
どうだろう、これでみなさんおわかり頂けただろうか。変化の激しい昨今、転職市場で求められるスペシャリティーは目まぐるしく変化している。何度も言うように、専門分野を持つことは大切なことである。しかし同時に、いざという時には関連分野にも応用の効く、Jさんのような“経験の土台”も作ってほしいのだ。ひとつの専門分野を追求しながら、守備範囲を広く持って頂きたいのである。例えばいくら優れた企画を出すプランナーでも、企画書ひとつ満足に清書できない人の言うことを誰が信用するだろう?。雑多な定型業務“のみ”に埋もれ続けるのは、確かに害毒だ。だがその業務に追われるだけか、将来の土台となるよう仕向けるかは、みなさん次第なのである。
![転職、派遣、アルバイトまで!求人メルマガ [en]キャリアニュース](http://columnjob.en-careernews.com/images/en_logo.gif)
