『 ジョブチェンジの法則 』

未経験の職種へ転職することを“ジョブチェンジ”と言う。未経験者も可の企業が増えてきたとはいえ、まだまだジョブチェンジ希望者には世間の風当たりがきついことは否めない。しかし、こんなケースが実現することもある。

ERPの導入を担当するエンジニアだったKさんは、以前からの夢だった経理への転職を希望していた。ところが色々な人材紹介会社を回ってみたものの、逆に前職と同じ仕事を勧められてしまう。「未経験の経理は絶望的。売れ筋のERP経験があるのに勿体ない」と。それでもKさんは諦めきれず、紹介会社をこつこつ訪ねていた。私が彼に出会ったのはそんな時だった。

最初は、私も正直どうしたものかと思った。だがKさんの意志は固い。そこで、企業への売り込み方を変えてみようということになった。ERP導入に際し経理の業務フロー設計も担当していた経験を活かし、“ERPもわかる経理の卵”という職種を私たちの方から企業に提案してみようと考えたのだ。

幸いなことに、これぞという募集があった。自社内ERPの入れ換え導入をする技術者と、経理スタッフ、各1名の同時募集である。私はその企業に、両職種を合体させKさんを採用しないかと提案した。経理部所属として迎え、ERP入れ換え担当からゆくゆくは経理1本のスタッフに育てられないかと。

初めは企業側も迷っていた。しかし面接を終えると、話はとんとん拍子に進んでいった。企業側は以前からシステム部門と経理部門の連携を密にする必要性を感じており、Kさんはその点で経験・人間性においても橋渡し役として最適と判断されたのだ。こうして経理の卵Kさんがついに誕生した。

Kさんは今は入社日を待つばかりである。私は、人材紹介会社を何社回っても諦めなかったKさんの熱意が、結局は我々エージェントと企業側を動かしたのだと思っている。ジョブチェンジには確かに困難がつきまとう。だが、チャンスが見つからないのなら回りの人間を巻き込んでチャンスを作らせる。そんなパワーが必要なのだと思う。新しいことを始める人なら、誰にでも。